otonatsube’s diary

定年まで後数年、好きな音楽の話を中心に、日々の暮らしを綴っています

ビタミンCの話 Vol .1

人間は体内で、ビタミンCを作れない

ビタミンC(C6H8O6)とぶどう糖(C6H12O6)の化学式は、とてもよく似ています。

ほとんどの動物は、体内でぶどう糖からビタミンCを合成します。

しかし、人間とサル、モルモット、オオコウモリだけは例外で、ぶどう糖からビタミンCを合成する酵素を持っていません。

そのため、私たち人間は、意識して体に必要なビタミンCを摂取する必要があるのです。

厚生労働省は、人のビタミンCの一日の推奨量を60~100mgとしていますが、犬は200mg、豚は500mgのビタミンCを体内で合成、人間と同じく自分で作れないサルは7g(7000mg)を口から摂取しています。

人間は健康のために、一日1g(1000mg)から5g(5000mg)のビタミンCの摂取が必要だといわれています。

病気になると、さらに多くの量のビタミンCが必要になります。ヤギは一日14g(14000mg)のビタミンCを体内で合成するのですが、ヤギが重い病気になると、自ら回復するために100g(100000mg)ものビタミンCを体内で作り出すのです。

ガン細胞を殺すビタミンC

米国の化学者ライナス・ポーリングによって、ビタミンCの大量療法を施行することで、「風邪が治る」ことが、1970年に発表されました。

よく世間でいわれる「風邪にはビタミンC」は、噂や迷信ではなく、ちゃんとエビデンスがあるのです。

当時の西洋医学界での彼に対する反応は冷ややかだったそうです。

その後、ポーリングは英国の外科医ユアン・キャメロンと協力して、ガン患者へのビタミンCの大量投与を行い、一般書「がんとビタミンC」でガン患者の延命効果を発表しました。

このポーリングのアイディアを弟子で医師のヒュー・リオルダンが引き継ぎ、カンサス州のウィチタでガン患者に対する高濃度ビタミンC療法を行う施設を開設し成功しました。

ポーリングは1994年に他界しましたが、2005年にアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI), 食品薬品局(FDA)の研究者が共同で高濃度ビタミンC点滴療法が癌の化学療法剤として可能性があることをアメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に発表し、同じグループの研究者らが高濃度ビタミンC療法が著効した3症例をカナダ医師会雑誌に発表しました。

現在、米国ではカンザス大学やジェファーソン大学で卵巣癌や悪性リンパ腫のトライアルが行われており、また副作用のない癌治療として約1万人の医師・自然療法医・統合代替医療医が導入、米国各地で高濃度ビタミンC点滴療法の研修会が開催されています。

高濃度ビタミンCの抗ガン作用のメカニズム

ビタミンCがガン細胞を殺す作用は解明されています。

ガン細胞は糖が大好物で、化学式がぶどう糖によく似た高濃度ビタミンCがが体内に入ってくると、さっそくガッつくわけです。

ところが、高濃度ビタミンCは細胞に入ると、面白いことに過酸化水素(H2O2  )別名オキシフルが発生します。あの消毒によく使われるオキシドールですね。

正常な細胞は過酸化水素を処理できるのですが、ガン細胞は処理できないためにアポトーシス(死亡)するわけです。

 

高濃度ビタミンC点滴療法の副作用

 正常な赤血球膜には「G6PD」(グルコース6リン酸脱水素酵素)という酵素があり、高濃度ビタミンCを処理できるのですが、人の中には、この酵素が欠損している人がいます。

G6PD欠損症の患者の血管内に高濃度ビタミンCを投与すると、重症の急性溶結性貧血発作を起こす危険性があります。

従って医療機関では、高濃度ビタミン点滴療法が施行される前に、必ず赤血球膜G6PDの活性を測定します。